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ミャンマー 地震で書類発行遅延 来日できない技能実習生相次ぐ

  • 執筆者の写真: 協同組合パートナー
    協同組合パートナー
  • 5 日前
  • 読了時間: 5分



ミャンマー中部で起きた大地震から28日で2か月です。日本で働きながら技能を学ぼうというミャンマーの技能実習生などが、地震などの影響で渡航に必要な書類の発行が遅れて来日できないケースが相次いでいることが、出入国在留管理庁への取材でわかりました。


必要書類の発行遅れ内定取りやめる企業も


出入国在留管理庁によりますと、ことし3月の大地震などの影響でミャンマー国籍の人が国外で働く際に必要な現地の労働省が発行する「海外労働身分証明カード」の発行が遅れ、日本の企業に就職を予定していた技能実習生などが来日できないケースが相次いでいます。

技能実習生を支援する東京・千代田区の森久保夏樹行政書士によりますと、内戦が続くミャンマーでは治安のよさなどから日本企業への就職を希望する実習生が多いといいます。


受け入れる日本企業にとっても、ミャンマーの実習生は日本語能力が高く人材難に苦しむ介護業界などでの受け入れが進んでいるということです。


しかし、地震で政府機関が被災したことなどから証明カードの発行が遅れていて、現地の送り出し機関や日本企業からの相談が増え、中には内定を取りやめる企業も出ているということです。


支援の行政書士 “企業は状況を注視してほしい”

森久保さんは「受け入れ企業は実習生たちの来日に時間がかかることを前提にしてほしい。すぐに内定を取り消すことはせず、渡航が難しい期間は別の国の人材も平行して採用するなどしてミャンマーの状況を注視しながら待ってほしい」と話しています。


管は在留資格の有効期間を延長

厚生労働省の調査では去年10月末時点で日本で働くミャンマー国籍の人は11万4618人で、このうち技能実習生は3万3878人となっていて、年々、増加しています。


ことし3月の大地震のあとミャンマーから出国する際に必要な「海外労働身分証明カード」の発行が遅れていることを受けて、日本の出入国在留管理庁は、技能実習生などがビザの発給を受ける際に提出する「在留資格認定証明書」について有効期間を通常の3か月から6か月に延長する対応を行っています。


ミャンマーから来日の女性 “内定キャンセルしないで”

ミャンマー中部で大地震が発生する前に出国に必要な書類が発行されて来日できたというミャンマー国籍の女性は「母国にいる家族や友人を心配しています。早く安心して暮らせるようになってほしい」と話しています。


女性は大地震が発生する前にミャンマーの労働省から「海外労働身分証明カード」が発行されて、ことし来日でき、特定技能制度を利用して介護現場で働いています。


大地震から2か月となり、いまも内戦が続き地震の被害が重なった故郷を思い「母国に残してきた家族のことが心配です。私の家族もそれ以外の人も早く安心して暮らせるようになってほしい」と話していました。


女性の友人も日本で働くことを希望していますが、証明カードが発行されず今もミャンマーにとどまっているということで「友人のことも心配です。内定をキャンセルされた人もいると聞きました。ミャンマーでは女性は危険です。早く日本に来られるといいと思います」と話していました。


また、日本の企業に対しては「内定をキャンセルしないでほしい。ミャンマーの状況を見て待ってほしい」としています。


【Q&A】なぜ来日できない?理由や入国までの流れは?


ミャンマー中部で起きた大地震から2か月となるなか、日本で働きながら学びたいという技能実習生などの来日が難しい状況になっています。


なぜ来られなくなっているのか?その理由や入国までの流れを調べてみました。


Q. そもそも日本で働くミャンマーの人はどのくらいいる?


A. 日本の企業で働く外国人の労働者について厚生労働省が行った調査では、2024年10月末時点で、ミャンマー国籍の人は11万4618人と増え続けていてベトナム、インドネシア、フィリピンに次いで4番目に多くなっています。

このうち、技能実習生は3万3878人で全国籍のおよそ7%にあたり年々増加しています。


食品製造や建設関係のほか、近年、人手不足が課題となっている介護業界でも多くの人が働いています。


Q. ミャンマーからの技能実習生を日本で受け入れるまでの基本的な流れはどうなっているの?


A. ミャンマーから新たに技能実習生を受け入れたい日本の企業はまず、ミャンマーの送り出し機関と契約を結んでいる、国内の監理団体に「どの職種で」、「何人」を採用したいのかなどを伝え、技能実習生の受け入れを申し込み、監理団体を通じてミャンマーの送り出し機関に求人を出します。


その後、企業は、監理団体やミャンマーの送り出し機関と相談しながら面接を実施して実習生の採用を決定。


企業は採用が決まった実習生のビザの発給に必要な日本の在留資格認定証明書の発行手続きを進めて迎え入れます。


ここまでの流れは、ミャンマー以外の国でもほぼ同じ手続きです。


ミャンマーの実習生については、これに加えて、採用が決まり出国をする際にミャンマー労働省が発行する、「海外労働身分証明カード」を申請し取得する必要があるということです。


ミャンマーから国外で働くすべての人が出国する際にこの証明カードが必要になるということです。


Q. 今、なぜミャンマーから実習生などが日本に来ることが難しくなっているの?

A. この「海外労働身分証明カード」の発行が地震などの影響で遅れているためです。


出入国在留管理庁や外務省によりますと、この証明カードはことし1月、ソフトウェアのメンテナンスを理由に、発行が停止されていました。


その後、3月に発行は再開されましたが大地震が発生して発行が遅れ、ミャンマーから出国できない技能実習生などが相次いでいるということです。


このため、出入国在留管理庁は、ミャンマー国籍の人の在留資格認定証明書について有効期間を通常の3か月から6か月に延長する対応を行っています。


Q. 今後はどうなるの?

A. ミャンマーから来日して働く人は近年、大幅に増えていて、労働力不足の中で欠かせない存在となっています。


国や受け入れ企業には、現地の状況を長い目で注視しながら、受け入れに向けた体制づくりを進めることが求められています。

 
 
 

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